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ライター「岡村直人」寄稿 〜映画「この世界の片隅に」舞台挨拶レポート〜 [映画館へ行こう!]

2017年3月19日(日)「藤枝シネ・プレーゴ」にて、
映画「この世界の片隅に」17:00の回上映後、
片渕須直監督の舞台挨拶が行われました。

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この日は、ぱらぽんが進行をすることになったので、
カメラマンの藤田義雄くんと、ライターの岡村直人くん、
ぱらぽんの3人体制で、舞台挨拶レポートをすることになっていました。
なので、メインのレポートは岡村くんにお願いすることに。

この頃、ぱらぽんありえないスケジュールをこなしていたので、
そのレポートを披露する間がなく、申し訳なく思っておりました。
遅くなりましたが、こちらにて、
岡村くんのレポートをご紹介させていただきます。

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2017年 3/19(日)、藤枝シネ・プレーゴにて
「この世界の片隅に」片渕須直監督の舞台挨拶が行われました。

「この世界の片隅に」は、戦時中の広島県呉市を舞台に、
ある家庭に嫁いだ「すず」の日常を描くアニメ映画。
6年の制作期間を経て、2016年11月に公開スタート。
制作にあたり、WEB上で資金提供を募るクラウドファウンディングを利用し、
約3900万円もの制作費が集められたことでも大きな話題となった作品です。

公開後、作品の評判はSNSを中心に広まり、
当初は全国63館の公開だったものが、約300館にまで異例の拡大上映。
観客動員数は現在約170万人を記録。
また、第40回日本アカデミー賞では最優秀アニメーション作品賞を受賞。
その他も、数々の映画賞を受賞しています。

ーーーーーー

片渕監督は、清水を舞台にしたテレビアニメ
「ちびまる子ちゃん」の制作に携わっておられ、
実は静岡に縁のある方。
この日、監督は浜松、静岡と舞台挨拶をし、
藤枝シネ・プレーゴは県内3ヵ所目。

会場は、ほぼ満員。
「一般公開が始まってから(今日で)128日目、
4ヶ月以上経って、こんなにあちこちに呼んでいただいていると、
本当にありがたいと思っています」
という監督の言葉で舞台挨拶は始まりました。

「この世界の片隅に」は日付が明記され物語が進行していきます。
それに触れ、「今日が3月19日なんですが、それは、
すずさんが野の草を詰んでいたら、急にラッパの音が聞こえてきて、
大砲がバンバン鳴り出す、あの日付が3月19日だったんですね。
1945年ですから、ちょうど72年前の今日があの日だったわけです」
そう思うと、感じ方も変わってきます。

監督が取材で初めて広島へ行ったのが2011年5月。
「昔の町を出来るだけ再現しようと思ったわけです。
建っている家の一軒一軒まで、当時の町や町並みを再現しようと思ったんです」
現地に行く前に、膨大な資料に目を通し、電柱が何本立っていたまでを調べ、
当時の街並みが思い浮かぶようになってから行っていたというから驚きです。
広島・呉へは何十回と取材に行ったそうです。

さらに、「その場に立って自分が眺めたらどう見えたんだろう?
こっからここまですずさんは歩いたんだな、
けっこう上り坂だな、くたびれるな、とか、
そういうこうことをいちいち味わいに行ってたわけなんですね。
あるいは広島に原爆のきのこ雲が立ったとき、
それは(呉から見て)こっちの方に立つんだな、
って改めて確かめて、原作のこうの史代さんと一緒にその空を眺めたり、
そんなこともしたんですね。
思っていたよりもっと北側にきのこ雲が立つんだとか」
そうやって、監督がすずさんと同じ体験を実際にしてみたことが、
作品の細部にリアリティを与えているのでしょう。

監督は広島、呉への取材の際には、サービスエリアに車を停め、
ワンセグで「あまちゃん」見ていたそうです。
「そのときからすずさんは僕の頭の中ではですね、
今のあの声で喋ってたんですね」
すずさんの声優をつとめたのんさんの演技には絶賛の声が多く、
すずさんとのんさんシンクロ率の高さには驚くばかりです。
原作を熟読し、のんさんに白羽の矢を立てた監督はさすが。
のんさんはこの作品での演技が評価され、
声優アワードで特別賞を受賞しました。

この作品の感想の特徴は「物語の中に入り込んでしまって、
実際にあったことと感じてしまう。本当にすずさんがいるように思える」
という意見が多いそうです。
監督曰く「自分の中ではもう完全にいる人だなって、
まず僕が信じなくて誰が信じるんだってことなんです」
「自分自身がすずさんたちが本当にいる人のように思いたいな、
と思っていたことがうまく形になって、
それが人の心の中に忍び込むことが出来たからなんじゃないかな
と思っていたりもします」

現実と地続きである戦時下の日常という題材、
監督の徹底的なリアリティへの追求、
そして、すずさんの声優をつとめたのんさんの好演。
これが前述した「この世界の片隅に」の物語の中に
 入り込んでしまう仕掛けなのではないでしょうか。

舞台挨拶終盤、監督は今現在の作品への思いを語ってくれました。

「この映画自体は徐々にこれからまた
いろんな場所で上映されなくなっていくかもしれないです。
これからいろんなアニメーションが様々な花を咲かせるでしょうけど、
そうすると逆に、我々の映画は新しく出てきた映画に
スクリーンを譲るっていうことに
徐々になっていくんじゃないのかなって思います」

「じゃあいつかDVDが出れば、とは思うんですけども、
僕はやっぱりあくまでこの映画は、
この世界の片隅にって題名どおりに、そこに世界があるっていうふうに
感じていただけるとありがたいかなと思います。
大きいスクリーンに映した世界、
それから周りに四方から聞こえてくる大きな音、
それが合わさったところが、すずさんや、すずさんたち、
すずさんの家族たちが住んでいる世界なんだろうな、
と思いたいわけなんですね。
ですからまだまだ映画館で上映を続けられる余地があれば
どこへなりとも僕なんか参りますし、
できればお客さんたちにも来てもらいたいと思っています」

そして、最後はこう締めくくられました。

「今日、甲子園で市立呉高校が勝ちまして(笑)で、
市立呉高校が勝って嬉しいのかなって思ったら、
けっこう嬉しいかったりする自分がいるわけなんです」

「いつのまにか、すずさんの気持ちが
自分の中にも住んでしまっている気がしているわけなんですね。
そういうすずさんは今きっと91才のおばあさんになって、
呉か広島かどこかわからないですけど、
そういうところで今日は選抜見てただろうし、
そのうちにプロ野球が始まったらカープの応援をしだすだろうな
と思うんですね。
僕はきっとそうやって元気で、戦争中にいろんなことを、
耐え忍んだって言うとすずさんぽくないですけど、
いろんなことを我慢したぶんだけ、今すごく野放図な、
いいかげんなおばあさんになっててくれるとうれしいかなと思います」

「みなさんもそういういろんなすずさんを思い浮かべていただけると、
たぶん思うんですけど。また機会がありましたら、
すずさんに会いにスクリーンの前に来ていただけるとありがたいです。
よろしくお願いします。どうもありがとうございました」

作品を見た方がすずさんに魅せられてしまうのは、
監督がすずさんという人を大切に想っているからなのかもしれません。
ご自身の作品への愛が感じられる舞台挨拶した。

片渕監督、ありがとうございます。
この世界の片隅の映画館にきてくれて。

「この世界の片隅に」は藤枝シネ・プレーゴでは残念ながら終了となりましたが、
この作品が1日でも長く映画館で上映されることを願います。

【文:岡村直人】
【写真:藤田義雄】

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終了後に、皆さんと記念撮影。

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事務所で、サインをしてくださっている片渕監督。

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ぱらぽんは今まで、映画館の舞台挨拶等のイベントには、
一人で突撃レポートすることが多かったのですが、
去る「ふじのくに映画祭」を記録レポートするにあたり、
若者たちにサポートをお願いしました。
藤枝市と映画館、映像に関わるこれからのニーズなどを考えると、
いろいろな人が関わり多様性を持ち、
その可能性をみんなで考えたり、試したりすることが
大切かなと思っています。
もちろん、ぱらぽんも続けますが、
若者にもチャンスを!と思います。
共有して、継承する。
ぱらぽんが持っているものは、築いたと言えるほどではないですが、
何かがあった時には、きちんと繋いで置けるようにしておく、
それもある種の危機管理かなと思う、春です。

【岡村直人】と、【藤田義雄】に、
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